暗号資産の種類（Proof of Stake編）
目次
- はじめに
- Proof of Stakeとは
- PoSを採用している暗号資産
（1）イーサリアム（ETH）
（2）カルダノ（ADA）
（3）ソラナ（SOL） - おわりに
1. はじめに
暗号資産は日々増え続けており、2023年6月13日現在では2万種類以上の暗号資産が流通している。暗号資産は主にProof of Work、Proof of Stake、ステーブルコインの3種類に大分する事ができる。『暗号資産の種類』ではそれぞれの特徴や代表的な暗号資産について述べていく。第2回目はProof of Stakeの仕組みやProof of Stakeを採用している代表的な暗号資産を解説する。
2. Proof of Stakeとは
Proof of Stake（以下PoS）とはイーサリアムをはじめとした暗号資産の取引を正しくブロックチェーン上に記録していくための仕組みである。
PoSを説明する上で欠かせない構造として「ステーキング」という仕組みが存在する。ステーキングとは新しいブロックを生成するためにネットワークに暗号資産を預け入れる事である。ステーキングはネットワークへの参加と貢献を示すもので、ステークホルダーがネットワークのセキュリティを維持するための役割を果たす。
PoSではステーキングを行う参加者のことを「バリデータ」と呼ぶ。バリデータはトークンをロックすることでネットワークの合意形成に参加し、報酬を受け取る。PoSでは保有している暗号資産が多いほど生成・承認の役割を割り当てられる確率が高くなるが特定の個人や組織に権限が集中することを避けるために、役割の割り当てがある程度ランダムになる様な仕組みになっている。
PoSはPoWの様に膨大な電力や処理能力に特化した特殊機器を必要としないため、PoWと比較して環境に優しい、というメリットが存在する。一方で、多くの暗号資産を長期間保有していた方が有利なため、短期間で売却しようと考える保有者が少なくなり、暗号資産の流動性が低くなってしまう、というデメリットも存在する。
PoSとPoWの大まかな違いは下図のようになっている。
出所：Next Finance Tech作成
3. PoSを採用している暗号資産
それでは実際にPoSを採用している暗号資産を見てみよう。
3.(1) イーサリアム（ETH）
出所：Coin Market Capより
イーサリアムはPoSを採用しているの中で最も知名度の高いブロックチェーンプラットフォームで、ネイティブ暗号資産はETH（イーサ）である。時価総額もビットコインに次いで約30兆円（2023年6月13日現在）となっている。イーサリアムの特徴はブロックチェーンの中で資産の取引情報に加え、様々なアプリケーションプログラムを記録・実行できる点で、現在もイーサリアムを通してUniswap, OpenSeaなどのプロダクトの開発が行われている。
3.(2) カルダノ（ADA）
出所：Coin Market Capより
カルダノはイーサリアムのコンセプトを次世代に進化させることを目的に開発されたブロックチェーンプラットフォームでネイティブ暗号資産はADA（エイダ）である。2023年6月13日時点での時価総額は、約1兆4,000億円となっている。カルダノは「ウロボロス」という合意形成アルゴリズムを搭載しており、これはPoSプロトコルの中で初めて学術研究を基盤に構築された事例である。
3.(3) ソラナ（SOL）
出所：Coin Market Capより
ソラナはPoSとProof of Historyという新しいメカニズムを組み合わせて運用されているブロックチェーンプラットフォームでネイティブ暗号資産はSOL（ソル）である。時価総額は約9,000億円（2023年6月13日現在）となっている。ソラナは高速かつ安価にトランザクションを処理できることが大きな特徴でイーサリアムのブロック生成が平均6分で行われるのに対してソラナは平均0.4秒でトランザクションを処理している。
4. おわりに
今回はProof of Stakeの仕組みやメリット、デメリット、PoSを採用している暗号資産を紹介した。PoSはPoWの様々な環境的問題を改善した環境的にも持続可能性の高い仕組みとして多くの業界専門家に評価されている。しかし、長期的なトークンエコノミクスの持続性はまだ証明されていないため今後の動向には注目が必要だ。