EigenLayer:EigenLayerの提供機能と運営組織の基礎的理解


目次

  1. はじめに
  2. 前提知識
    2.(1) ブロックチェーン/DAppsにおける51%攻撃
    2.(2) ブロックチェーン/DAppsにおけるセキュリティ担保
    2.(3) Liquid Staking Token/Liquid Staking Derivative
  3. EigenLayer
    3.(1) EigenLayerの背景
    3.(2) EigenLayerの概要
    3.(3) EigenLayerを通じたリステーキング
    3.(4) リリーススケジュール
    3.(5) EigenLayerの抱えるリスク
  4. EigenLayer 運営組織
    4.(1) チームメンバー
    4.(2) 資金調達状況
  5. おわりに
    参考文献

1. はじめに

Ethereumは2015年にリリースされ、ブロックチェーン業界を大きく変えた。2015年以前は、BitcoinというP2Pの送金に特化したブロックチェーンが主流であり、新しい分散型アプリケーション(DApps)を開発するためには新しいブロックチェーンを作る必要があり、セキュリティ面等で多大なコストがかかってしまっていた。しかし、Ethereumの登場により、DAppsを簡単に構築できるようになった。というのも、Ethereumのブロックチェーンが、Ethereum上に構築されたDAppsにセキュリティを提供しており、DAppsの開発者が信頼を獲得するために多大なコストを支払う必要がなくなったのである。

そのような背景もあり、2015年以降今日に至るまで、Ethereum上でのDAppsは多く開発されてきており、他レポートで扱っているUniswap(DEX)、Curve(DEX)等もその一部である。とはいえ、Ethereum上にデプロイされていないサービスも存在しており、それらは自身でセキュリティを担保する必要があり、セキュリティを担保するために、分散化されたバリデーター群を集める必要がある。このようなシステムの事をAVS(Actively Validated Services、以降、AVS)と定義している。EigenLayerのホワイトペーパーによると、AVSにはブリッジや、オラクル、DAレイヤー等があるとされている。

しかし、詳しくは第3章で説明するが、AVSには大きく2つの課題があった。1つは、AVSを立ち上げるために多くのコストがかかってしまう点。2つ目は、AVSがセキュリティを提供するDAppsは攻撃のターゲットになりやすくセキュリティを担保するのが難しい点であった。こういった課題を解決するためにEigenLayerというサービスが提案され、現在実装され始めている。本レポートでは、そういったEigenLayerについて提供機能と、運営組織を簡単に説明していく。

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